区分マンションで難しい問題として、雨漏れの問題があります。区分マンションの場合、大家さんが保有している専有部分と、管理組合が管理している共用部分とがあります。雨漏れが起きた場合、専有部分か共有部分かによって処理方法が変わってくるので、これだけで大変なストレスを抱えるケースもよくあります。
まず、専有部分の雨漏れであれば大家さんが独自の費用で修理する必要があり、共用部であれば、管理組合を通じて修繕してもらう、というのが大筋の整理です。
もっとも、この「専有部分の雨漏れか、共用部分の雨漏れか」のどちらかを認定することに時間がかかりトラブルに発展するケースが多いです。大家さんとしては、共用部と認定してもらい管理組合側に修繕してほしいと思うものの、管理組合としては反対に考えるので、そもそもどちらの部分と認定するのに争いがあり得ます。
さらに管理組合側の動きが遅いことが多く、その認定にも時間がかかるという事情もあります。さらに、入居者側からのクレームが強く、大家さんが自分の保険を使って直したいと思っても、今度は保険会社が自社から保険金を支給したくないので、「共用部の雨漏りでは?」と主張されて停滞することも多々あります。
要は、大家さん、管理組合、保険会社の利害が衝突し得るので、入居所側が雨漏れ被害を受けているにもかかわらず、誰が責任をもって修繕するかの認定に時間がかかることが多く、トラブルが発生しやすいといえます。
さて、今回のお話しでも、高利回りの老朽化物件ではありますが、修繕トラブル、雨漏れトラブルなどがある、という実態を共有させて頂きました。
雨漏れの専有か共有かという問題は、発生した際には、如何ともしがたいですが、基本的には賃借人への補償まで含めた保険契約によって予防しておくほかありません。
専有部分か共有部分かで争いが酷い場合には、建築士や弁護士が関与するようなケースもありますが、そこまで事前対策はできないでしょうから、どうしてもトラブルが生じた場合には、不動産トラブルに慣れている弁護士に早めに相談するのが得策です。
弊社では、一般的な大規模修繕工事を通常の足場による工事と無足場工法であるロープアクセスによる工事、または両工法を組み合わせた工事を施工できる日本でも数少ない会社ですが、普段より天井裏や床下に潜る建築に明るく実績の多い弁護士さんと協業しているため、トラブルが生じた際には工事だけでなくサポートが可能です。