国土交通省は昨日、分譲マンションの住民が管理組合に毎月支払う修繕積立金について、段階的に引き上げる場合の増額幅を、新築時の約1・8倍までとする目安をまとめました。
販売業者が販売促進のため当初の積立金を低く設定することで、後に過度な増額が必要となり、住民合意が難航するケースがあるためです。
国交省は、長期修繕計画に基づき、将来の改修費用の総額を月ごとに割った額を基準とし、この額を毎月徴収する方式を「安定性に優れる」として推奨しています。
目安では、段階的に引き上げる場合も下限を基準の0・6倍以上、上限を1・1倍以下にするように求めました。
新築時を下限とし、上限まで引き上げた場合、新築時からの引き上げ幅は約1・8倍となる計算になります。
国交省は、長期修繕計画を作成する際の同省の指針に盛り込む方針のようです。マンションの適切な管理計画を自治体が認定する「管理計画認定制度」の基準に加えることも検討するそうで、認定されると大規模修繕工事後に固定資産税が軽減されるなどのメリットがあります。
弊社のように大規模修繕工事の御見積り依頼を頂く際に修繕積立金が思うように貯まっていない、入居者様が高齢化で積立金の増額が厳しいというリアルな話を伺うことも、しばしばあります。
そのような管理組合様の場合、本来は全体的に修繕工事が必要でも、弊社が行っている無足場工法であるロープアクセスによる工事で、部分的(面ごとなど)に緊急性の高い箇所から工事をさせて頂くことも増えてきています。
販売業者の口車に乗せられない健全な建物維持が今後は増えてきそうですね。